借家にしている住宅を売った時の税金は、短期譲渡、長期譲渡とは

家を売却したときの税金は コラム

大手食品メーカーにお勤めの中川さんは(営業の)北川が担当することになった。

「借家にしている中古住宅を売りたいのですが」

夫婦で来店された中川さんは事務所の応接室で北川に話し始めた。

「建売住宅を購入して15年ほど住んでいたのですが、転勤を機に人に貸すことにしたのですよ。借家にしてから10年ほど経つのですが、借家人が退去することになったので、この際、売却しようかと考えています」

「そうなんですか。それで借家のある場所はどこですか」

「寺山台です」

「寺山台ですか。駅からはちょっと離れていますが、近くにスーパーもありますから、買い物などは便利なところですね」

「中川さんは、今は朝日ヶ丘にお住まいでしたね」

「ええそうです。またこちらに帰ってきたのですが、今は私の両親の実家で暮らしています」
と奥さんが答えた。

「この先、両親の介護のこともありますから、寺山の家には住む気ないんですよ」

「なるほど」と北川がにこやかな表情を浮かべながら相槌を打った。

「そうですか。ご両親様も同居なら安心ですね」

「それで、いくらで売れますか。また売れたときの税金はどうなるのでしょうか。そのあたりも教えていただけますか。初めてのことで、よくわからないんですが、私の友人が自宅を売却したときは3000万円の特別控除が使えたとか言ってたんですが」

査定報告書

「その借家がいくらで売れるのかという住宅の査定の件ですが、これは一度お家の中を見せていただかないと査定額が出せないのですよ。借家人の方がまだお住まいになっていて拝見できないのであれば、外観だけでも見せていただいて、土地の坪数や、建物の築年数、周辺の相場も参考にして査定させていただきます」

「査定価格などを書面にして、後日お渡ししますので少々お待ちくださいね」

譲渡税

次にその住宅を売られたときの税金ですが、あらましはご説明しますが、詳しくは税理士さんか税務署で相談してくださいね、と念を押したうえで北川は話しを続けた。

中川さんが所有されている住宅は借家にされていますので、転居されてから3年後の12月31日までに譲渡されるのであれば特別控除が使えるのですが、すでに10年が経過していますから、この特例の適用を受けることはできないですね。

長期譲渡所得

売却した土地建物の所有期間が5年以下か5年超か(短期か長期か)に応じて税額の計算方法が変わってくるのです。

中川さんの所有されている住宅は、所有期間が5年を超えますので長期譲渡所得の税金になります。

譲渡税の計算は、
(住宅を売却した金額)-{(建物の価格-減価償却費+土地代金)+譲渡費用}
=譲渡所得になり

この譲渡所得に20.315%(所得税、住民税、復興税含む)を掛けたものが税額になります。

減価償却費とは建物の構造、耐用年数、償却率から計算します。

例えば木造の場合は耐用年数33年、償却率0.031で

建物購入代金 × 0.9 × 償却率0.031 × 経過年数となります。

譲渡費用とは仲介手数料、印紙税等ですね。

取得費

譲渡税の計算をするときに大事になってくるのは、「取得費」です。

住宅購入時の契約書や領収書が残っていない場合は売却価格の5%を概算取得費として計算する場合もあります。

住宅購入時の契約書や領収書は大切に残して置きたいところですね。今年中にご売却できて、譲渡所得がある場合は、来年の3月15日までに税務署に申告して税金を納めていただくことになるのですね。

「そうなんですか。住宅を購入したときの契約書と領収書関係は権利書と一緒に保管していると思います」

「それはよかったです。一度確認しておいてください」

「査定させていただいたうえで、中川さんのご希望の価格でご売却ができますようにお手伝いさせていただきます。しばらくのあいだお付き合いさせてくださいね。どうぞよろしくお願いします」

物件の調査

中川さんは北川が担当することになり、新人営業マンの鈴木が北川に同行し一緒に物件の調査等を手伝うことになった。

新人営業マンは、初めは先輩と行動を共にして、実務を教えてもらうことになる。

北川は査定報告書を作成して、三日後には中川さんの自宅へ届ける約束を取り付けた。

中川さんが帰られてから、北川と鈴木は中川さんに教えてもらった寺山台の住所から、住宅地図に載っている物件の場所を確認した。

「寺山台二丁目・・・、ここだ」

グーグルマップからでも物件の場所が特定できるが、氏名が確認できない。

住宅地図には各戸の居住者名が載っているので不動産業者には必携である。
昔は住宅地図をめくって調べていたが、今はスマホからでも閲覧できる。

「おい鈴木、確か、寺山台の一丁目に売り物件があったな」

「2780万円の物件ですね。この前、物確したとき物元の業者が終わりましたって言ってましたけど」と鈴木が言った。
物元」とは売主から直接、売却を依頼された物件側の業者のことを言う。

「この辺りは駅からは距離があるが意外と人気があるんだ。足が速いかもしれんな。南向きだし、まぁ家の中の傷み具合にもよるが、10年ほど借家にしていたそうだからな。改装費によっては・・・、築25年か、古家付きの土地として売りに出したほうがいいかもしれないな。住宅メーカーが客を紹介してくれるかもしれないし」

「物件を見てから、登記簿謄本(登記事項証明書)、公図、地積測量図、建物図面などの登記資料を閲覧しよう」

北川は鈴木を連れてまず、物件を下見に行くことにした。 

「鈴木、物件を見に行こう。それから、その2780万円の物件だけど、契約した価格も物元の業者に聞いておいてくれ、その資料と、ほかの物件の資料も用意してくれよ。ついでにみて回るぞ」

 まとめ

北川は大手食品メーカーにお勤めの中川さんから、寺山台に所有している住宅の査定を依頼された。
住宅の価格査定をすることになったが、家を売った時の譲渡税のことを聞かれたので、あらましをかいつまんで説明した。
中川さんの所有している住宅は所有期間が5年を超えるので長期譲渡所得の税金になる。
北川は新人営業の鈴木と一緒に物件を見に行くことにした。

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