シルバーになった日

barber-shop コラム

男性の理容師さんが5~6人、女性の理容師さんは二人いて主に洗髪と顔そり、それとレジが担当です。

わたしのいきつけの理容店はいつも繁盛しています。

料金が安いのと技術とサービスもいいのではやっているのでしょうね。

椅子を後ろに倒してもらって、温かいタオルで顔をつつんでもらい、女性の理容師さんに剃刀を当ててもらうと、うっとりとしてきます。


店内は暖房がよくきいていますから、本当に眠ってしまうこともあるのですね。

5年ほど前に初めてこの店に入ったときのことを思い出しました。

散髪をしてもらってから、支払いをするためレジの前でポケットの財布を探しながらもたもたしていると、
「シルバーですか」「シルバーですか」とさっき顔そりをして下さった女性の理容師さんにレジの向こうからたたみかけるように言われました。

シルバー? いきなりそう言われたので何のことかわかりません。

たまたま私の財布の中にあったゴールドのカードに目が留まったものですから、
「いいえ、ゴールドです」と答えたのですね。

仕事中の男性の理容師さんたちが一斉に手を止めてどっと笑いました。

しかし、レジの向こうにいる女性の理容師さんは目尻をあげて、わたしを見つめています。

ちょっと気まずい空気が流れたように感じました。

この女性の理容師さんはわたしが冗談か、人をからかうようなことを言ったと思われたようです。

彼女は、高齢者はシルバー料金で割引になると言いたかったようです。

あとから気が付いたのですが、この店の料金表にはシニア(60歳以上)はシルバー料金と書いてありました。

シルバー料金は500円引きなんですね。
説明を聞いて初めて理解できました。

私は「ゴールド」ではなく、「シルバー」だったのです。

高齢者に向かって「高齢者ですか」とか「60歳以上ですか」などとは聞きにくいですから、「シルバーですか」と聞かれたのですね。

料金が安くなったぶんだけ嬉しいような、恥ずかしいような、そして、ちょっと悲しいような気がしたのでした。

わたしはその日からこの理容店の「シルバー」になったのですね。

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